早苗 第1話 早苗 照り返す緑髪をなびかせ歩いている 端整な顔立ちをした少女 私の名前は早苗。東風谷早苗逆から読んでもえなさやちこ そんな私もこの寒波にはまいっている。 シンシンと降り積もる雪、肩出し腋出し私は早苗 あぁ、神奈子様かなこさま 愛情をむき出しにした神奈子様が迫ってくる夢をよく見る。やめて 「やめてください」 「早苗私のことが嫌いになったのかい」 「・・・しいんです」 「えっ・・」 「おっぱいが暑苦しいんです」 今にも泣き出しそうな神奈子様を前に私は何を考えているのだろうか、今日の夕ごはんのことなのだろうか。 何を考えているのだろう、夕ごはんのことなのだろうか しんしんと降り積もる雪の中で私の腋を風が撫でる。癒しの清風 「今日は神奈子様の好きなコロッケですよ」 第2話  かわやにでた神と現人神 のっぴきならない あの神様はいったい何をしているのだろうか かわやで なにをしているのだろうか、私も限界だ トイレに行きたいのである 早苗、この現人神。ピンチです。おもらししちゃいそうです。 「ちょっと諏訪子様はやく出てくださいよ」 涙のお池が続いてる 点 点 点 点 私の部屋まで続いてる 第3話 今日の夕ご飯は蟹 彼女は笑っている 彼女の笑顔はすべてを満たしていく、みんな笑顔になれた 彼女の名前は貴子 私の名前は早苗 暑い、この異常な熱さはいかがなものであろうか 2月です 私は自分のホットスポットに指でなぞる 熱で火照る指を感じながら彼女のことを思い出した 本当はしってる本当はしってる本当は知ってる ごめんねごめんねごめんねごめんね 早苗は自分が早苗であることを分からなくなっていた なぜ神奈子様は・・・いったいどうして・・ それを考えると夜も眠れなくなる あのころに戻れるのなら もっと、大事に愛していただろう。賢く生きていただろう 心が痛む 使用期限の切れた定期のようだ 悲しい それでも私は・・・・ 第4話 腐りかけの牛乳 それは確かに絶望だった 「牛乳・・・飲みたいな」 私の口から飛び出た言葉が宙を舞い 6畳間にこだまする 「腐ってる」 私の中で何かがはじけた、赤く、また緑の リンゴによく似た何か 梨かもしれない 第5話 「ご飯!」 夕焼けの空にちりがみが舞う 今日の空も変わりなく綺麗だ、ただただあかい 言葉の主は もりやすわこ  なんかよく分からないけどそのへんの土地に昔から住みついた神様である 平たく言えば神である 「諏訪子様?」 「早苗・・・か、なぁ早苗」 そういって3分が経過した、耳が痛い。凪だ。音がない 「早苗・・・なぁタンパク質ってのはな・・・生きてるってなんなんだろうな」 ごめんなさい諏訪子様私はまだわかりません。早すぎる話です。 冬も終わる 私もあなたもクワガタムシ